古 書 検 索 の コ ツ を 教 え ま す

@はじめに
A書名による検索
B著者名による検索
Cキーワードによる検索

Dジャンル別在庫一覧表示


@はじめに

 当店のホームページ立ち上げの最大の目的は、書籍データベースを元にした検索が
行えるようにすることでした。お客様が自宅に(あるいは職場に)居ながらにして、お探し
の本が当店に在庫があるかどうか即座に調べられるようにしたかったのです。かなり曖
昧な記憶や漠然としたテーマで本を探すにしても、店員に直接問い合わせるわけでは
ないため気兼ねする必要はまったくなく、また営業時間外であっても大丈夫です。まさし
くお客様のお好きなスタイルで調べることができるのです。

A書名による検索

 古書検索の最も基本的なパターンは、特定された具体的な書名で本を探すことで
(「古書検索」と言ってますが、データベース化されている在庫であれば新本も検索でき
ます)。『球陽』を探している、『沖縄大百科事典』はないか? ……このような場合は「古
書検索コーナー」の書名の項にお探しの本のタイトルを入力して、「検索」ボタンをクリック
して下さい。『球陽』のように短いタイトルの場合はまず問題ないはずですが、書名が長い
ものや類似の語がある場合は慎重に入力をお願いします。正確なタイトルに対して、たと
えば「事典」と「辞典」のように一字でも異なると(残りのすべてを正しく入力しても)
検索はうまくいきません。
パソコンによるデータベース検索は、このようにちょっとのミス
でも融通が利かない難点を持っています。「奄美・沖縄」(ナカグロ)と「奄美 沖縄」(1マス
空き)のような違いも、正確に入力しないとダメです。

 しかし入力ミスさえしなければ、逆に以下のような得意技を発揮してくれるのが、パソコン
の「お利口さん」なところです。

 仮に『中世南島通交貿易史の研究』(小葉田淳著)という本を探しているとしましょう。こ
の書名で検索を行う場合、長いタイトルのすべてを入力するのは面倒くさいものです。また、
人によっては「通交」をうっかり「交通」にしてしまったために、「該当する書籍はありません」
という回答をもらう可能性もあるでしょう。

 実は古書検索は書名の一部でも可能なのです。実際にこの本の在庫が当店にあれ
ば、「中世」や「南島」だけでも検索でヒットします。ただし、この単語を書名に含む別の本
があればそれも同時にヒットすることになります。

 入力した単語が他の書名でもよく使われているような頻度の高いものだと、ヒットする数
が多すぎて目当ての本にたどり着くまで時間がかかりますので注意して下さい。「南島」な
どはかなりの書名で使われていますので、こういう切り取り方はあまり意味がありません。

 よって、『中世南島通交貿易史の研究』ですと、頻度の観点から言えば入力する単語は、
あまり使われていない「通交」の方がよいでしょう。あるいは「中世南島」という連続部分を
入力するのも選択肢としてはかなり有効です。書名全体の中からなるべく他の書名に
使われていそうにない部分を切り取って入力するのがコツと言えます。

 書名全体から有効そうな一部分を切り取って入力することは、検索入力における単純ミ
スを減らす効果があるとともに、実は書店側のデータベース上の入力ミスに対する予防策
としても効力を発揮します。

 書店人も人の子。データベース入力にミスがないとは言えません。誤字・脱字が最も懸念
されますが、旧字体と略字体、ナカグロか1マス空きかの違いなど、検索する側の予想に
反した入力を行っている場合があります。そういう間違いが生じやすそうな難しい漢字や、
普段余り使わない単語、またマスの取り方が曖昧になりそうな部分は、あらかじめ避けな
がら入力する語を切り取るように心がけて下さい。

 さきほどの例でいけば、『中世南島通交貿易史の研究』の検索は、「通交」を「交通」にし
てしまう恐れがデータベース入力者側にもあり得ますので、検索にあたっては「中世南島」
の方がより安全といえるでしょう。

 また、書名の頭に小さな文字で「増補」とか「新版」などがついている本を見かけますが、
それがデータベースにどういう形で入力されているかよくわかりませんから(人によっては
半角入力ということもありえます)、検索の際にはその部分はあっさり無視して入力した方
が賢明です。

B著者名による検索

 ところで『沖縄の歴史』という本を探す場合の検索はどうしたらよいでしょうか。「沖縄」もし
くは「歴史」と切り取るのは、さきほど説明した単語の頻度の観点から、明らかに労力の無
駄です。ヒットする書籍の数をいたずらに増やすだけです。

 では書名全体を入力しましょうか。いえ、実は「沖縄の歴史」と書名のすべてを入力して
も、まだまだ特定の1冊に絞ることはできません。この書名は一般的過ぎるのです。

 ちなみに2001年11月5日の時点で、当店HPの「古書検索コーナー」で書名の項に「沖
縄の歴史」と入力した場合、42点の在庫がヒットします。『沖縄の歴史』というタイトルの本
を、比嘉春潮(沖縄タイムス社発行)、宮城栄昌(琉球新報社及び日本放送出版協会発行)、
沖縄の歴史研究会(沖縄教育出版発行)、那覇出版社(同社発行)が、それぞれ著してい
るのに加え、『沖縄の歴史と文化』や『沖縄の歴史ものがたり』のような本もヒットしています
し、副題や、本の内容を簡単に紹介した文章に「沖縄の歴史」という言葉が含まれているも
のまで拾い出しているからです。

 このように書名全体でも他の本との区別がつきにくいものは、同時に著者名も入力
して条件を絞り込むことをお勧めします。
あらかじめその著者に著作が少ないことがハッ
キリしているのなら、書名は入力せずに、著者名の項目だけで検索するのもよいでしょう。
無駄なヒットを避けることとは別に、著者名による検索では、探している特定の本以外に予
想もしなかった別の著作がヒットする可能性もあり、この方法は魅力的です。

 ある一人の人物を研究テーマで追いかけている場合は、その人物の著作を著者名検索
で探すとともに、書名の項にもその人物名を入力して検索してみて下さい。書名検索
では、正題・副題以外に雑誌や紀要のなかの論文名をその執筆者名と合わせて拾うことも
できますので(ただし完全なデータベース化がなされているわけではありませんが)、単行
本以外のその人物の著作の在庫がわかることがあります。またその人物について他の人
が書いた「○○(人物名)論」のような作家論、人物評伝などがあればこれもヒットします。

 試しにここでは「大城立裕」で検索してみましょう。 まずは著者名の項にこの語を入力し
て検索しますと、43件のヒット数が確認できます(2001年11月5日現在)。次に書名の項
に「大城立裕」と入力して検索。ここでも42件のヒット数を示しました。そのほとんどが大城
立裕自身の文章が収録されている本や雑誌ですが、わずかながら作家論として岡本恵徳、
里原昭、川村湊の著作も拾われております。

Cキーワードによる検索

 特定された具体的な書名、もしくは著者名で本の在庫を調べるのが、本探しの基本的な
パターンですが、次は「ある事柄について調べたいが、何か関連文献はないか」という場合
の検索について説明します。いわゆる「キーワード検索」と呼ばれるものです。これは書名
や著者名がわからない場合でも可能な方法です。

 参考までに、書名の項にいくつかのキーワードを入力して検索してみた結果を以下に示
します(ヒット数のみ。2001年11月5日現在。繰り返すようですが、ヒットした数が単行本
に限ったものではないことはご了承下さい)。入力する語のちょっとした違いでヒット数が
変わることにご注目下さい。

 泡盛(23) イザイホー(15) 移民(79) イリオモテヤマネコ(11) 御嶽(26)
 エイサー(12) 沖縄戦(173) おもろさうし(59)【「おもろ」だと125となり、かなり
 増える】 空手(40) 郷友会(17) 久高島(26)【「久高」でも28と、ほぼ変わらない】
 組踊(55)【「組踊り」と送り仮名をつけると、とたんにヒット数は2に激減する】
 三線(15) しまうた(19)【「島歌」で14、「島唄」では9】 首里城(52) 沖縄そば(4)
 長寿(34) ハブ(24) ひめゆり(26) 紅型(20) 復帰(123) ペリー(12)
 門中(26) 琉球処分(24) 琉歌(68)

 キーワード検索では、当然のことながら、当店が作成したデータベース上にそのキーワ
ードが含まれているかどうかが決め手です。最も確実なのが書名に含まれている場合で
す。副題やシリーズ名に含まれている場合でもほとんどOKですし、論文名でもある程度
は拾うことができます。

 問題なのは、内容的にはその事柄について書かれている本であるにもかかわらず、書
名(副題も含む)や論文名にその事柄を表す語を使っていない場合です。目次までデータ
ベース化できると理想的ですが、これは一古書店の作業としては荷が重すぎます。著者
にとっても出版社にとっても、本や論文のタイトルの重要性については今更言うまでもあり
ませんが、今後あらゆる方面でデータベース検索が活用されるだろうことを考えると、内容
をかなりの度合いで反映する言葉をタイトル(副題を含めて)に使わないと、読者との巡り
会いのチャンスを自ら摘んでしまうことになりかねません。

Dジャンル別在庫一覧表示

 当店のデータベースを元にした古書検索について、特定の具体的な書名(もしくは著者
名)による方法、キーワードによる方法を説明いたしましたが、最後に意外な盲点となっ
ている検索方法をお教えいたします。

 データベースはいわば、書名、副題、著者名に加え、内容の一部を表すキーワードまで
索引事項として備えた当店独自の書籍目録であるわけですが、ある程度上手に検索をこ
なせるようになったお客様のなかには、自然と次のような疑問が生じるはずです。

「検索ではなく、あっさり在庫のすべてを知りたい。それは見ることができないのか?」
 
 実はこれができるのです。ちょうど送られてきた古書目録をパラパラとめくるように、とり
あえず在庫全体をザーッと眺めてみたい、という希望をお持ちのあなた。紙の目録をめく
るほどには簡単ではありませんが、以下の手順で在庫一覧をお試し下さい。

 古書検索コーナーに「大分類」と「小分類」のワクがあります。最初はどちらも「指定なし」
となっていますが、まずはここで「大分類」のワクの右端に表示されている矢印(↓)をクリ
ックしてみて下さい。いくつかの分類項目が出てきます。このうち興味がある項目にマウス
ポインターを合わせてクリックします。

 試しにこでは大分類項目の「歴史」を選んでクリックしてみましょう。一瞬の後、再び「古書
検索コーナー」の画面が現れますが、最初「指定なし」だったワクには、さきほど選択した
「歴史」が表示されているはずです。

 次に「小分類」のワクの矢印をさきほどと同じようにクリックし、表示されるいくつかの分
類項目の中から、ここでは「考古学総記」を選んでクリック。そして「書名」や「著者名」のワ
クには何も入力せずに(空白のままでOK)、一番下にある「検索」ボタンをクリックしてみて
下さい。「歴史・考古学総記」に分類された当店の在庫68点がヒットします(2001年11月
5日現在)。

 68点の在庫を一覧するには、20点刻みでページをめくるようにできていますが、「古書
検索コーナー」の画面にある「表示件数」を「100」に変えることで、1ページ内に納めるこ
とも可能です(ただし、表示件数を増やすことで検索スピードは少し落ちます)。

 「大分類」と「小分類」の組み合わせをどのように変えても、上に説明した方法で在庫が
一覧できます。当店の検索システムは最高1000点までは一覧表示が可能です。
に1000点を超える場合は「該当件数が多すぎます。条件を絞り込んで下さい」というエラー
メッセージが出ますが(たとえば、キーワード検索で書名の項に「沖縄」と入力してみて下さ
い。同様なエラーメッセージが出ます)、現時点では、小分類項目まで指定した場合、さき
ほどのようなエラーメッセージが出るような「大所帯」のジャンルはありません。

 ところで、「小分類までいちいち指定しないといけないのか」というご不満をお持ちのあな
た! 総在庫数が、上限1000点以内に収まる大分類項目であるならば、小分類項
目を指定せずに、すぐに「検索」ボタンをクリックすることも可能です。
ただしこれに該
当しない大分類項目もいくつかありますので(「総記」「歴史」「社会科学」「芸術」「文学」は
総数1000点を超えています)、ご堪忍。これらは現在のシステムでは、やはり小分類項
目まで指定していただく必要があります。ご了承をよろしくお願いいたします。

 

トップページに戻る